錦糸町楽天シネマズで李相日監督の「許されざる者」を観る。
イーストウッド監督の映画を好きだから、この映画を観ないわけにはいかなかった。
完全なリメイク版であり、細部に小さな変更はあるものの、大筋は一緒。あれは完璧なストーリーだから、手を加えないのは正解。設定にアイヌの問題を絡めて、物語に厚みを増している。
佐藤浩市の署長はなかなかいいが、暴力シーンの迫力はいまひとつ。いや、悪くはないのだが、ジーン・ハックマンが凄すぎた。
渡辺謙も同様で、演技そのものは深みがあるものの、イーストウッドに比べて顔が優しいぶん、損をしているように思う。
柳楽優弥のまっすぐな演技と、小池栄子の存在感は光っている。
イーストウッド作品を好きならば、観るべき映画だと思う。
ボールトの指揮で「グレイト」を聴く。
冒頭の悠揚迫らざるホルンの響きで勝負は決まった。
スケールの大きな、素晴らしい演奏である。
ゆったりとした序奏から急速なアッチェレランドをかけて主部に入るところの迫力は並みではない。そしてまた急にブレーキをかけてゆったりと歌うところなんかは名人芸。
オーケストラは対抗配置になっており、右から聴こえるヴァイオリンがとても効果的。広がりを増している。このあたりの時期に対抗配置によるものの演奏としてはクレンペラー/PO盤があるが、ボールトのほうが骨太である。
ロンドン・フィルは好調。超絶技巧ではないが、生き生きとして気合いの入った演奏を繰り広げている。
ラストの変化は圧巻。こういうやり方は、やっぱり19世紀生まれの指揮者のものだ。今となっては古びているが、嫌いじゃない。
エイドリアン・ボールト指揮
ロンドン・フィルハーモニック
1972年5月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音。
乗馬の発表会。
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