ヴェルナー・ヒンク(Vn)
フーベルト・クロイザマー(Vn)
クラウス・パイスタイナー(Va)
フリッツ・ドレシャル(Vc)
アロイス・ポッシュ(Db)
ペーター・シュミードル(Cl)
シュテパン・トゥルノフスキー(Fg)
ギュンター・ヘーグナー(Hr)
シューベルトのいくつかの曲に対して、繰り返しが多いという指摘があるけれど、この八重奏曲も同じフレーズの繰り返しが多い。
手を変え品を変え、時には同じ楽器で延々とやる。
でも、この曲に関して、その繰り返しを何度も聴いていると、うんざりするどころか、もっともっと、夜が明けるまで繰り返して欲しくなる。何度も何度も繰り返して欲しい。それくらい、甘さに満ちたいいメロディーなのだ。
この八重奏曲は、ベートーヴェンの七重奏曲に影響を受けて作られたものとされているが、モーツァルトのディヴェルティメントに近いのじゃないかと思う。比較的自由な編成、自由な楽章の構成、そして理屈抜きで楽しめることろが、そう思わせる。
こんなに悠長でのんびりした音楽がこの世にあることが愉快だ。
ウイーン八重奏団は、この楽しくも冗長な曲に対し、その冗長さを厭わない。
ほどよく回顧的甘さが入り交ざった、シャープな現代的演奏。
ことに、シュミードルの遊びごころにあふれたクラリネットが秀逸。
せちがらい世間を忘れて、シューベルトの浮世離れした歌世界にどっぷりひたるのだ。
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