シベリウス「レンミンカイネン組曲」 オーマンディ指揮フィラデルフィア管酒の肴。
ザーサイと葱の和え物。これはビールで。
カルシウム揚げ。鳥の軟骨の唐揚げ。これもビールで。
豆乳鍋。台北で夜勤明けに食った辛い豆乳スープが忘れられない。ラー油が決め手。これはウィスキー。いや、なんでもいいや。
シベリウスのこの曲を長らく「四つの伝説曲」として覚えていたが、最近では「レンミンカイネン」で表記されることが多いみたい。
このCDのジャケットには後者が記載されているけれど、HMVの紹介では前者になっている。どちらの標題が正しいのかよくわからないが、いづれもはるか遠い国の雰囲気があって、いいのじゃないかと。
ジョン・フォード監督の「いとしのクレメンタイン」が邦題だと「荒野の決闘」になるようなものか。
この曲を長い間、ベルグルンドのエアチェックを聴いてきた。たしかボーンマスの演奏だったと思う。シンプルな響きに寒々とした世界が感じられ気に入っていた。なので、CDはずっと持っていなかったのですね。
このオーマンディによる演奏は、明るい色調で描かれた昔話のよう。悲劇的な香りは薄く、カラッとしていてほのかに暖かい。
各奏者のうまさはいつも通り。「トゥオネラの白鳥」におけるコーラングレのなんて雄弁なこと。
作曲者は、この4つの曲を必ずしも通して演奏されなくてもよいと想定しているらしいが、終曲におかれた「レンミンカイネンの帰郷」は連作交響詩「わが祖国」の終曲「ブラニーク」によく似ていると思う。旋律というよりは、管弦楽の手法が。レンミンカイネンの帰郷と、チェコ民族の勝利。怒涛の高揚感がそっくりである。
作曲年代はややスメタナのほうが早いので、もしかするとシベリウスは「わが祖国」を聴いてインスピレーションを受けたのでは、などと夢想する日曜の夜である。
つややかさで広がりのあるEMIの録音はすばらしい。
1978年2月、フィラデルフィア、オールド・メットでの録音。
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