森永卓郎の「年収崩壊」を読む。
いまや年収300万円も危ない、ということで様々な節約術やスローライフを紹介している。
今の日本人はアメリカン・ドリーム的な上昇志向を目指して突っ走っているけれど、そろそろヨーロッパ的落ち着きを持とうよ、という一節がある。
「貴族支配の階級社会が続いたことによって、ヨーロッパの一般庶民は、上昇志向そのものを失ってしまいました」
「成功への夢を追いかけ、朝日に向かって走り続けるアメリカ型と、貧しいながらもゆったりと夕日のなかでうたた寝をするヨーロッパ型、どちらが正しいのかわかりません」
どちらをとるかは、選ぶ人の体質や趣味によることになるわけだ。
最後に著者の知り合いのギリシャ人のセリフがあり、これはなかなか説得力がある。
「ギリシャは貧乏だけれど、ほとんどの人が、おいしい料理とおいしい酒とステキな恋人を持っている。これ以上働いて、いったいほかに何が欲しいと言うんだい?」
今週聴いたCDは、ソニーの「The Great Collection Of Classical Music」シリーズの一枚。
以下、裏表紙の曲目一覧。
スッペ「軽騎兵」序曲
オッフェンバック「天国と地獄」序曲
ロッシーニ「ウィリアム・テル」序曲
ロッシーニ「セビリャの理髪師」序曲
スッペ「詩人と農夫」序曲
ウェーバー「魔弾の射手」序曲
ウェーバー「舞踏への勧誘」序曲
ニコライ「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
「舞踏への勧誘」は序曲ではなかったような気がするが、序曲といわれればそれでもよいかーと思えるところが、こうした企画CDの強みである。もともと外国語なのだし、題名は概ね合っていればよいノダ。
このラインナップは、一部オリジナルでその他寄せ集めで構成されているようだが、こういう曲をまとめて聴くことができるCDは意外に少ない。
ふた昔前だったら、カラヤン、オーマンディ、バーンスタインなんてところの大御所が、けっこうこういう企画を出していたのでわりと聴く機会があったものだが、今の指揮者たちは、こういった名曲集をあまりやらない。
趣味があわないのか、会社が望まないのか、はたまた時代が要請しないのか。
マゼールとかメータなんて、いかにもやりそうなんだけど、それほどやっていない。「魔弾の射手」はやるけど、「詩人と農夫」までは至らないという感じで、いまひとつ腰がひけている。
そういうわけで、このバーンスタインの名曲集はありがたいのだ。
これらの曲のうち、「詩人と農夫」と「ウィンザーの陽気な女房たち」のCDを持つのは初めてだ。
「詩人と農夫」は、昔、中学の時に学校のイベントがあるたびにBGMとして流されていたのだが、聴くのはそれ以来だ。こりゃなつかしい。
「セビリャの理髪師」は、クレッシェンドの効いた、軽快な演奏が好まれるが、ここでの演奏はあたかもパットン大戦車軍団の様相。これが逆に新しく、このCDの目玉演奏となっている。
「魔弾の射手」もじっくりと落ち着いた重厚なもので、大交響曲を聴くような風情がある。
そのあとに「舞踏への勧誘」がくると、これがホントウに同じ作曲家のものか?というくらい違うことに軽く驚く。オーケストレーションによってかくも音楽は違うものだということを教えてくれる。こういうことを知ることができるのも、この選曲ならではことだ。なかなか感慨深い。
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