グルダ ノン・ストップグルダ:フォー・リコ
ピアノの軽やかな音色が、明るいジャズ調の曲を引き立てる。すごくノリが良くて、クラシックという枠組みからは、はずれた音楽といえる。
でも、私はコテコテのクラシック音楽が好きなので、こういう曲を特段いいとは思わない。
グルダ:メヌエット~チェロ協奏曲より
拍手の鳴り止まぬうちに2曲目が始まる。ウィスキーのCMに出てきそうな、夜のムードのある曲で、まるでバッハをジャズ風に弾くようにくだけている反面、折り目の正しさも感じる音楽。
モーツァルト:幻想曲ニ短調
前の曲から、アタッカで続く。グルダの使っているピアノはベーゼンドルファーの性質によるものか、弾きかた、あるいは録音の加減なのか、音がとても軽くて明るい。ミケランジェリやグールドを聴くのとは異なった違和感がある。でも不快ではない。
グルダ:アリア
グルダによる、ショパン風に味つけした魅力的な作品。
もしもピアノが弾けたなら、こういう曲がいいのかもしれない。
グルダ:プレリュードとフーガ
バッハみたいな題名だけど、ジャズ風なスタイルによる技巧的な作品。技巧的といっても、速いだけで実際はさほど難しくないような感じ。
ドビュッシー:ビーニュの門
グルダの後にモーツァルト、グルダの後にドビュッシー、どうしてこういう配列になるのかわけがわからないけど、続けて聴いて違和感はない。特殊な、軽いピアノの音色が同じだからか。
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ミケランジェリやギーゼキングの演奏に比べると、これは、大曲を構成しているうちのひとつではなく、鼻歌でも歌うかのように弾き流しているよう。
ショパン:練習曲 25-7
この演奏も、酒場で弾いているような軽やかなノリだ。大仰さからはほど遠く、普段着すぎる弾きぶりで、これはこれで味がある。
ショパン:舟歌
今まで軽く弾き飛ばしていたグルダだが、この曲は冒頭から剛速球だ。こういうのを聴くと、やはりグルダよりもショパンだとしみじみ思う。弾き方は相変わらず少々荒いけれども、こんなに楽しい演奏もない。
酒呑んで寝転がって聴くにいい。グルダのショパンを聴くヨロコビがここにある。
ショパン:夜想曲 15-2
じっくりした弱音から、澄んだ高音まで、グルダの音色の切れ味を堪能できる。夜の濃厚な雰囲気も満点。
シューベルト:即興曲 90-3
少々速いテンポで疾走するが、こういうテンポだとかえってシューベルトのみずみずしい抒情が浮き立つようだ。
端正な名演。
ヨハン・シュトラウスⅡ世:「お客をよぶのは私の趣味で」
オルロフスキーのアリア。それなりに楽しいけれど、シューベルトの名作のあとに聴くと、悪いけどだいぶ落ちる。
ヨハン・シュトラウスⅡ世:「親しい仲間よ」
これも「こうもり」から。大味なウイーン居酒屋風ワルツ。
民謡:辻馬車の歌
途中、聴衆の笑い声が聞こえる。グルダがなにかやっているのだろう。こういうシーンがあると、映像も観たくなる。
1990年、ミュンヘン。
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