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グルダ ノン・ストップ

2008.02.15 - オムニバス


gulda

グルダ ノン・ストップ


グルダ:フォー・リコ
ピアノの軽やかな音色が、明るいジャズ調の曲を引き立てる。すごくノリが良くて、クラシックという枠組みからは、はずれた音楽といえる。
でも、私はコテコテのクラシック音楽が好きなので、こういう曲を特段いいとは思わない。

グルダ:メヌエット~チェロ協奏曲より
拍手の鳴り止まぬうちに2曲目が始まる。ウィスキーのCMに出てきそうな、夜のムードのある曲で、まるでバッハをジャズ風に弾くようにくだけている反面、折り目の正しさも感じる音楽。

モーツァルト:幻想曲ニ短調
前の曲から、アタッカで続く。グルダの使っているピアノはベーゼンドルファーの性質によるものか、弾きかた、あるいは録音の加減なのか、音がとても軽くて明るい。ミケランジェリやグールドを聴くのとは異なった違和感がある。でも不快ではない。

グルダ:アリア
グルダによる、ショパン風に味つけした魅力的な作品。
もしもピアノが弾けたなら、こういう曲がいいのかもしれない。

グルダ:プレリュードとフーガ
バッハみたいな題名だけど、ジャズ風なスタイルによる技巧的な作品。技巧的といっても、速いだけで実際はさほど難しくないような感じ。

ドビュッシー:ビーニュの門
グルダの後にモーツァルト、グルダの後にドビュッシー、どうしてこういう配列になるのかわけがわからないけど、続けて聴いて違和感はない。特殊な、軽いピアノの音色が同じだからか。

ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ミケランジェリやギーゼキングの演奏に比べると、これは、大曲を構成しているうちのひとつではなく、鼻歌でも歌うかのように弾き流しているよう。

ショパン:練習曲 25-7
この演奏も、酒場で弾いているような軽やかなノリだ。大仰さからはほど遠く、普段着すぎる弾きぶりで、これはこれで味がある。

ショパン:舟歌
今まで軽く弾き飛ばしていたグルダだが、この曲は冒頭から剛速球だ。こういうのを聴くと、やはりグルダよりもショパンだとしみじみ思う。弾き方は相変わらず少々荒いけれども、こんなに楽しい演奏もない。
酒呑んで寝転がって聴くにいい。グルダのショパンを聴くヨロコビがここにある。

ショパン:夜想曲 15-2
じっくりした弱音から、澄んだ高音まで、グルダの音色の切れ味を堪能できる。夜の濃厚な雰囲気も満点。

シューベルト:即興曲 90-3
少々速いテンポで疾走するが、こういうテンポだとかえってシューベルトのみずみずしい抒情が浮き立つようだ。
端正な名演。

ヨハン・シュトラウスⅡ世:「お客をよぶのは私の趣味で」
オルロフスキーのアリア。それなりに楽しいけれど、シューベルトの名作のあとに聴くと、悪いけどだいぶ落ちる。

ヨハン・シュトラウスⅡ世:「親しい仲間よ」
これも「こうもり」から。大味なウイーン居酒屋風ワルツ。

民謡:辻馬車の歌
途中、聴衆の笑い声が聞こえる。グルダがなにかやっているのだろう。こういうシーンがあると、映像も観たくなる。


1990年、ミュンヘン。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

グルダって才人という印象がありますね
天才と言っても良いのかもしれませんね
こういう曲だと、グルダの良さが現れるのではないかなって思ったりもします。

ベトベンのピアノソナタは、ちょっとどうかなって思ったりしますが、コンチェルトは素晴らしいんですよ。なぜ、そういう違いがあるのかなって思ったりも~。

モツアルトなどでも、向いている曲、向いていない曲というのがあるように思います。

確かに映像で観てみたいですね~。

ミ(`w´)彡 
2008.02.16 Sat 06:16 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

ある評によると、グルダは10代にして完成の域に達してしまったので、自作やジャズに行くしかなかった、というようなものがありました。
本当のところどうなのかわかりませんが、ジャズなどやらずにクラシック1本で通してほしかったものです。

この曲集はとても楽しいのですが、やはりショパンやドビュッシー、シューベルトがよいのです。
グルダの曲の代わりに、シューベルトを入れればなあ、なんて思ったりして…。
2008.02.16 10:17

無題 - sweetbrier

こんばんは。
ジャケットだけ見ると、最もなじみ深い聴衆を前に、リラックスして演奏している晩年のピアニストといった感じですね。「こんなショパン、どうよ」とでも。
吉田さんも、なんだかんだ言いながら楽しまれてますね♪
2008.02.16 Sat 21:48 [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

グルダ、ほんとうに楽しそうに弾いています。
自作の曲は、そりゃショパンやシューベルトに比べれば多少落ちるかもしれませんが、けっして悪い曲ではありません。
1990年といえば、グルダ最晩年のものなのですよ。でも、そういうことを感じさせない選曲とノリ。こういうピアノをきかせるヒトは、グルダ以外になかなか見当たらないようです。
仰るとおり、ナンダカンダ言って、実に楽しく聴くことができました。
2008.02.17 16:28
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