湘南の風コンサート Vol.2を聴きに行く(2017年1月21日、茅ヶ崎、スタジオ・ベルソーにて)。
シューベルト 即興曲 Op90-3
シューベルト 春の信仰、野ばら、水面に歌う、鱒
シューマン 交響練習曲
ブラームス クラリネット・ソナタ2番
シューベルト 岩の上の羊飼い
ピアノ:横田萌子、ソプラノ:林いのり、クラリネット:大竹祥弘
最初のシューベルトは、いわば名刺代わり。ベーゼンドルファーの柔らかな音色をいかした演奏で、ところどころアゴーギクをきかせて味をつけていた。ふうわりとしたピアノはあたかも、夜の世界にわれわれをいざなうかのようだった。
歌曲は総じて、速いテンポの曲が素晴らしかったように思う。野ばらと鱒は、はじけるような瑞々しさを湛えていて、ワクワクしないわけにいかなかった。林の声は安定感があり、音程も完璧。高音の伸びもじゅうぶんにあるいい歌唱。
シューマンは難曲。遺作を入れるか入れないか、入れるのであればどのタイミングで入れるかが問題となる。今回は、8曲目(?)の次に遺作を2曲挿入するという構成は、前後のバランスをよく踏まえていて正解だった。大好きな遺作の5番、涙が出た。
終曲の最後、転調するところでミスが出たのは残念であるが、全体的に最後までうまくまとめたと思う。
ブラームスは晩年の作品。それを24歳のソリストがどう演奏するのか楽しみだった。ふくよかで艶やかな音色をいかした演奏であり、とくに弱音のコントロールが素晴らしく、魅せられた。老人ブラームスの頬がほんのり赤くなったようなクラリネット。楽器のコンディションは万全ではなかったと見受けられたが、それを補って余りある演奏だった。
最後は珍しい歌曲。最初はクラリネットがメロディーを提示して、そのあとにソプラノが登場する。ピアノを始めとしてクラリネット、ソプラノはテクニックは盤石。シューベルトの陰りは薄かったものの、若々しい演奏で気持ちがよい。
全体を通じて、面白かった。
今から3回目が楽しみ。
パースのビッグムーン。
PR