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ニコラーエワのバッハ「ゴルトベルク変奏曲」

2008.04.19 - バッハ

Bach

バッハ「ゴルトベルク変奏曲」 タチアナ・ニコラーエワ(Pf)

内田樹の「街場の現代思想」を読む。
このデフレの世の中で、給料が下がっていく中でモチベーションをあげるのは可能かというテーマに対し、筆者はハッキリと「NO」と言う。
給料が下がって覇気のないオジサンたちは縮小再生産プロセスに入り込んでしまっており、「その人々がもう一度モチベーションを回復し、ばりばり仕事に打ち込むようになる可能性は、オランダやスペインが「世界帝国」にカムバックする可能性と同率くらいに低い」らしい。
モチベーションは待遇とリンクするけど、そこまでストレートではない気がするが…。
どこかに道があるのじゃないかと楽観的に思いたいものだ。


そこで(というわけでもないけど)「ゴルトベルク」を聴く。
ニコラーエワ最晩年の録音。
冒頭を聴いて、ひとつの音を奏でるために細心の注意を払っているかを窺うことができる。かといって神経質ではなくむしろおおらかなピアノである。重心を低くとり、ゆったりとしたテンポの悠々たる音楽である。
ニコラーエワが最新であろうスタインウェイを駆使してバッハに挑むのは、現代に生きる人間が現代の環境で挑戦するべきと考えてのことと察するが、これはピアノで演奏されたものの中でも有力な録音のひとつだと思う。
ピアノの厚くて澄んだ音色を聴くだけでこのCDを聴く価値がある。装飾音は控えめであり、基本の旋律を、ひとつもおろそかにせず大事に大事に弾き紡いでゆく。
各主題ともテンポがゆっくりなものだから、地平線が見える広大な平野のごとく見晴らしがいい。
「ゴルトベルク」を録音するくらいのソリストであれば、時折変化したり濃い味付けをするものだが、ニコラーエワのピアノにケレン味はない。落ち着き払った実直さがある。

1992年1月の録音。
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